次世代退職金が会社を強くする

企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)が今、注目を集めています。少子高齢化や働き方改革の影響で、企業の福利厚生制度も見直しが迫られる時代。そんな中、企業型DCは「経営者」「従業員」双方にメリットをもたらす制度として、多くの企業が導入を検討しています。

この記事では、企業型DCを導入するメリット・デメリットを分かりやすく解説し、社長であるあなたがこの制度を導入するべきか判断するためのヒントをお伝えします。

企業型DCとは

企業型DCは、企業が掛金を拠出し、従業員が運用を行う退職金制度です。従来の確定給付型年金制度とは異なり、運用結果によって受取額が変動する仕組みが特徴です。
そのメリットは以下の通りです。

企業型DCのメリット

経営者にとってのメリット

(1) 社会保険料の軽減
誤解の無いように先にお伝えすると、「結果的に」社会保険料が削減できるというのは、企業型DC導入の副産物的なメリットです。決して、逆矢印的な考えではありません。
企業型DCの掛金は給与とは異なり、社会保険料の対象外となります。そのため、社会保険料の負担を軽減することが可能です。例えば、給与に上乗せする形で福利厚生を充実させたい場合、企業型DCを活用することで効率的に従業員満足度を高めることができます。

(2) 退職金負担の明確化
従来型の退職金制度では、将来的な退職金負担額を予測するのが難しいことが課題でした。しかし、企業型DCでは掛金があらかじめ固定されているため、経営計画の立てやすさが向上します。

(3) 優秀な人材の採用・定着
福利厚生の充実は、優秀な人材の採用や定着に直結します。特に若手人材や中堅層にとって、企業型DCの導入は「従業員を大切にする会社」という印象を与えやすくなります。

(4) 原資の準備に対する苦労が少ない
運用益複利の効果で退職金が増えていくので、会社が退職金準備として積み上げることなく、また、従業員の選択で積み上げていくため、将来退職金積み立てられなくなったらどうしようという心配とも無縁です。
(※もちろん投資であることのメリットデメリットはありますので運用は自身の商品選択次第です)

従業員にとってのメリット

(1) 税制優遇が受けられる
企業型DCの掛金や運用益は税制優遇の対象です。税負担が軽減されることで、従業員の実質的な受取額が増加します。

(2) 老後資金の形成ができる
少子高齢化による年金不安が高まる中、企業型DCは従業員に老後の経済的安定を提供します。従業員が自ら運用を行うことで、資産形成スキルを身につける機会にもなります。

企業型DCのデメリット

経営者にとってのデメリット

(1) 導入までに時間がかかる
少なくとも6ヶ月程度はかかるため、導入したいのであれば早めに準備の必要があります。

    (2) 従業員教育の必要性
    運用商品を自分で選ぶ必要があるため、従業員への金融教育が欠かせません。金融リテラシーが低いと、適切な運用ができずに不満が生じる可能性があります。

    従業員にとってのデメリット

    (1) 運用リスクがある
    運用成績によって退職金額が変動するため、元本割れのリスクがあります。特に、運用経験が少ない従業員には心理的な負担が大きいかもしれません。
    (※従業員の方は、やらない、という選択を取ることも可能です)

      (2) 中途退職時の制約
      中途退職した場合、企業型DCで積み立てた資産をすぐに現金化できない点がデメリットです。移管手続きが必要になるため、柔軟性に欠けると感じる従業員もいるでしょう。

      企業型DC導入の成功ポイント

      企業型DCを導入する際には、以下の点を押さえることが成功の鍵となります。

      従業員への教育プログラムの充実
      運用商品や運用方法について従業員に十分な説明を行い、運用スキルの向上をサポートしましょう。

      適切な運用商品ラインアップの選定
      従業員のニーズやリスク許容度に応じた運用商品を提供することが重要です。

      信頼できるサポート者の選定
      導入後の管理や運用がスムーズに行えるよう、親身になってくれる導入サポート者を選びましょう。

      まとめ

      まとめ企業型DCは、経営者と従業員の双方にメリットをもたらす次世代型の退職金制度です。一方で、初期コストや従業員教育などの課題もあるため、慎重な検討が必要です。

      今こそ、企業型DCを通じて会社の魅力を高め、未来を見据えた経営戦略を実現しませんか?

      企業型DCの導入に関するご相談は、ぜひ弊所にお問い合わせください。